料理人が考える‘‘料理が美味しいBBQ‘‘への道

5月に入りさっそく暖かく・・・というかもはや暑くなり、そろそろBBQも楽しめる季節になってきました。

BBQは環境さえあればかなり気軽に行えるアクティビティですし、ある程度の盛り上がりと翌日の体調不良は担保されてるようなものでしょう。

音楽でも流しながらビール片手に思い出話でもしてればそりゃまぁ楽しいでしょう。

ですから、BBQ自体の盛り上がりは皆さんにお任せするとして、元料理人らしく手軽に食事をレベルアップさせる方法を少し考えてみます。

目次

バーベキューを美味しくするためのアイデア:味覚と雰囲気をアップグレード

BBQの問題点

さて、前述しました通りアクティビティとしてBBQは非常に優秀でしょう。

ですが、正直食べ物がおいしいかと言えば、イマイチな印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

お肉がパサパサになってしまったり、硬くて臭みがあったり、野菜に色んな香りが移ってしまったり。

味付けが焼肉のたれで単調になってしまったり、様々ありますが、何故BBQの料理はイマイチなのか。

答えは単純で、『難しい』からですね。

今回は、解決策を考えるとともに、料理を美味しくするにはどうしたら良いか、考えられるようになるヒントをいくつかお伝えできればと思います。

おいしいBBQへの道①準備編

BBQで美味しい料理を作るには、事前の準備をしっかり行っていきましょう。

  • 食材選び
    最初にしょうもないことを言いますが、肉はBBQ用のセット肉を選ぶ方も多いと思います。
    当たり前のことを言いますが、できたら精肉店さんとかで各部位ご準備いただくほうがおいしく頂きやすいかと思います。
    今回の記事の本題ではないので、そこはもちろん予算に合わせて考えてみてください。

    良い肉を!というのではなく、選択基準を知って、お好みに合わせて選んでいただくのが肝要でしょう。


  • 牛肉の選び方

    肩ロース
    牛の肩から背中にかけての部位
    程よい弾力と旨味があり、比較的リーズナブル。

    メモ:やや硬くなりやすい、鉄板より網焼きがおすすめ。
    高火力でさっと焼いてあげるのがおすすめ。

    リブロース
    牛の背中にある部位
    適度に脂がのっており、柔らかくジューシーな味わい。

    メモ:やわらかくてジューシー。厚切りにして鉄板で焼き、ステーキで食べるのがおすすめ。

    カルビ
    牛のあばら骨周りの部位で、
    脂が多く、とろけるような柔らかさ。

    メモ:やわらかくてジューシーなものの、ものによってかなり品質が分かれる。
    安価で、見た目として赤身が多いカルビ肉は、咀嚼した時に臭みを感じやすいので、もみダレ(※後述)に漬け込んで鉄板で、脂の乗った肉であれば、網で焼くのが良いでしょう。

    ハラミ
    牛の横隔膜にある部位(一応ホルモン)
    筋肉質で噛みごたえがあり、独特の旨味があります。

    メモ:筋肉質で噛み応えはあるものの、硬い部位ではなく、ヘルシーで食べやすい。
    もみダレに漬け込んで鉄板でじっくり焼くのがおすすめ。(個人的にはハラミは良く焼きが好きです)

    タン
    牛の舌の部位
    コリコリとした食感と、あっさりとした味わいが特徴です(脂自体は結構多い)。

    メモ:薄切りにして塩焼きにしたり、タンシチューにしても美味しくいただけます。臭みを感じる場合は、焼く前に軽く塩を振って10分ほど置き、水分をふき取ってから焼くか、塩だれに漬け込んでから焼くのも良い。
    網焼きがおすすめ。
  • 豚肉の選び方

    豚バラ
    豚の腹肉の部位
    脂が多く、ジューシーな味わいが特徴です。

    メモ:厚切りにして焼くと、肉汁が溢れ出し、食べ応え抜群。
    鉄板、網どちらでも構わない。油がたっぷり出るので、鉄板で焼くと香りの支配力は強め。
    塊肉を厚めにカットしてサムギョプサル的に食べるのが個人的なおすすめ(キムチも焼こう)


    豚ロース
    豚の背中の部位
    脂身と赤身のバランスが良く、柔らかくあっさりとした味わいが特徴。

    メモ:硬くなりやすく、淡泊な味わい。美味しいけれど個人的にはあまり押しづらい部位。厚切りにしてハーブなどを加えて焼いたり、焼きそばに使うのがおすすめ。


    スペアリブ
    豚のあばら骨周りの部位
    脂が多く、骨付き肉ならではの食べ応えがあります。

    メモ:骨周りの肉はうま味が強い。タレに漬けこんでアルミホイルに包み、火が入るまで加熱してから表面を高温でカリっとするまで焼いて食べるのがおすすめ。塩コショウなどシンプルな味付けで食べたい場合は、火加減が難しいので鉄板でじっくり焼くのががよいでしょう。


    豚トロ
    豚の首の後ろ側の部位
    脂が多く、とろけるような柔らかさが特徴です。

    メモ:塩焼きにしたり、ネギと一緒に焼いても美味しくいただけます。油が多いので、網焼きがおすすめ。

  • 鶏肉の選び方

    鶏もも肉
    鶏の腿の部位。
    脂肪分が多く、ジューシーな味わいが特徴です。

    メモ:どう食べても美味しいです。焼く前に塩を打って、出てきた余分な水分をふき取ってあげると、臭みもかなり緩和することができます。皮目からパリッと焼いて食べましょう。鉄板がおすすめ。


    せせり
    鶏の首の後ろ側の部位。
    筋肉質で弾力があり、独特の旨味があります。

    メモ:たんぱくなものの、焼き鳥にするとジューシーさもある。
    レモンやわさび、柚子胡椒等との相性抜群。網焼きがおすすめ。


    一般的に選択されやすそうな肉はこんなところでしょうか。
    野菜は新鮮なものをお好みで買っていただくと良いと思いますが、鉄板の油掃除用に、エリンギ・ナスは有ると良いと思います。

    他にもウインナーソーセージとかも良いですよねぇ・・・

おいしいBBQへの道⓶調理器具編

食感が悪い、臭みが残る等の問題・・・原因は下処理だけじゃなく、火加減かもしれません。
BBQでの火加減の調整は難しいですが、基本的な知識を持って挑戦してみてください。

まずはBBQで主に使われる調理器具、鉄板と網の特徴をそれぞれ解説していきます。

鉄板の特徴

  • 熱伝導率が高いため、食材全体にムラなく火が通り、均一に焼き上げることができます。
  • 表面積が広く、遠赤外線効果でじっくりと加熱するため、肉や魚などの食材をジューシーに仕上げることができます。
  • 厚みのある鉄板は蓄熱性が高いため、焼きムラができにくく、保温性にも優れています。
  • ステーキやハンバーグなど、厚みのある食材を焼くのに適しています。
  • 鉄板ならではの香ばしさが加わり、風味豊かな味わいに仕上がります。


    焼き方、ポイント
  • 熱伝導率が高いため、表面はすぐに焦げ付きやすく、中まで火が通りにくい場合があります。
  • 弱火でじっくりと焼くことで、表面を焦げ付けずに中まで火を通すことができます。
  • 厚みのある鉄板は温度調節が難しく、気が付いたらかなり高温になっていることがある。
  • 火力と焼き時間を調整しながら、丁寧に焼き上げる必要があります。


    おすすめのシーン
  • ステーキやハンバーグなど、厚みのある肉類をじっくりと焼き上げたいとき
  • 野菜や海鮮類と一緒に焼き、鉄板焼き風の料理を楽しみたいとき
  • 保温性を利用して、焼きあがった食材を温めておきたいとき
  • ハーブやスパイス、香味油などを使った香ばしい料理を作りたいとき。



    網の特徴
  • 網と食材の間に隙間があるため、余分な油が下に落ち、ヘルシーに焼き上げることができます。
  • 炭火の香りをダイレクトに食材に伝えるため、香ばしい味わいに仕上がります。
  • 直火にあたるので、表面をカリっと香ばしく、中はふわっと仕上げるのに向いています。
  • 焼き網の焦げ付きによる風味が加わり、独特の味わいになります。


    焼き方、ポイント
  • 炭火を目で見て火加減を調整しやすく、比較的扱いやすい。
  • 網目が大きすぎると、食材が落下したり、焼きムラができやすくなったりします。

    おすすめのシーン
  • 炭火の香りをダイレクトに食材に伝えたいとき
  • 食材を網で調理すると、余分な水分や脂が抜け、炭火の香りも相まって臭みを対策できる。
  • 初心者でも扱いやすいので、手軽に焼き肉を楽しみたいとき

おいしいBBQへの道③仕込み編

BBQで焼肉をして食べると、なんとなく一味落ちてる、臭みが強い。
そう感じる人も多いと思います。
少々面倒かと思いますが、仕込み調理をすることである程度解決することができます。

・臭み対策
臭みは肉の中の水分を抜くことによってある程度対策することができます。
例えば鶏肉は臭みが強いですが、焼く10分ほど前に塩を振り、出てきた水分をふき取ってあげることによって臭みを抑えられます。

・味付け
BBQといえば、焼肉のたれを使う方が多いと思います。
もちろん焼いたものにタレを絡めて食べるのも美味しいですが、実はお手軽に一味上げる方法があります。
それが度々登場したもみダレです。
タレで食べたい肉(例えばカルビやハラミ)を焼く前に焼肉のたれに絡め、10分以上漬け込んでから焼いてあげましょう。
焦げやすくなるので、焼く際にはその点気を付けてください。
(豚肉や鶏肉は芯までしっかり火を入れなければならないので、牛肉推奨です。料理慣れしている方でしたら鶏もも肉も美味しくなりますので、挑戦してみてください。)

自作の焼肉のたれが用意できると楽しいですが、もちろん市販の好きなもので構いません。


火加減
BBQの火加減調整はこの世で一番難しいことで有名ですが、極端な低温・高温は避けましょう。
前述したように、網の場合には目で見てある程度調整できるかと思います。
直火に当たると表面に一気に火が入り、中心をふっくらさせたい場合には良いですが、焦げやすいです。
火から弱すぎると、加熱される時間が長くなり、脂も落ちていくので、パサパサになるので気を付けましょう。

鉄板の場合は高温の部分と低温の部分を鉄板上に分けて作りましょう。
温度感が分からない場合は、玉ねぎ、ニンジン等火が入るのに時間がかかるものを鉄板に配置して、様子を見ながら温度を想像してあげると失敗しづらいです。

まとめ

  • 炭: 炭はしっかりと熾して、安定した火力を保ちましょう。
  • 網: 網は熱してから食材を乗せると、くっつきにくくなります。
  • 焼き順: 最初に火の通りにくい根菜類を焼き、次に肉類、最後に火の通りやすい野菜類という順番で焼くと、効率良く調理できます。

おいしいBBQへの道④最後に

さて、ずいぶん長いこと話して(?)きましたが、皆様の参考になれば幸いです。
色々ありましたが、最初に言いました通りBBQは開催された時点である程度成功は担保されている行事かなと思いますので、後は余計な諍いを起こさないように、マナーを守って、片付けやらはちゃんと協力し合ってやっていけば良いんじゃないでしょうかね。

えっと、はい。

それじゃ皆様楽しんで。



自家製焼肉のたれお手軽バージョン

しょうゆ大さじ3
酒大さじ1
砂糖大さじ1
すりおろしりんご大さじ2
おろしにんにく3cm
おろししょうが3cm
白ごま大さじ1
ごま油大さじ1

甘味が弱ければはちみつ小さじ1
辛みが欲しければ粉唐辛子お好み
コチュジャン入れたりしても美味しいよ

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この記事を書いた人

全国津々浦々移住を繰り返す流浪の民です。
料理家で元作曲家で元伝統工芸士等々なにやってんだかよくわからん人。

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