夏だな~なんて思って、未だ4月の末を知らせるばかりのカレンダーを見かけては数か月先を憂うたいらですが、みなさんお加減いかがでしょうか。
さて、僕は元々料理人と言う話は度々していますが、「シンク臭くなるしぃ~」とか「うろこかきもってな~い」とか、「柳葉包丁ないから刺身ひけな~い!」とか、言い訳を繰り返して自宅で鮮魚を扱うことを避けてきました(別に嫌なわけではないんだけど、なんとなく)。
それが、先日STOCK BUSTERSさんに伺いまして、噂には聞いていたけど調理器具がまぁ~安い!
ちょっと信じられないレベルで安い(店内撮影禁止でしたので写真はありません)。
これはもしや誰かを犠牲に成り立っているのでは…などと戦々恐々としながら買い物をしていざ帰宅してみると、さては鮮魚を扱う環境が揃ってしまったな?ややあって気が付くわけです。
ひとまずハマチなんぞ買って帰ったわけですが、刺身でも引いて・・・と思ったところ、「あぁ、ワサビがない」「買ってきましょうか?どれが良いとかあります?」と同居人との会話があったわけです。
う~ん、鮫川おろしも無いし、とりあえずチューブで良いか。
等と考えていたところ、そういえばチューブのワサビの選び方なぞ多くの人は知らないのではないか、と思い至って本編へと続くわけです。
前置きは、いつだって長い。
チューブワサビのすゝめ
さて、皆様はチューブワサビ選ぶときどんな基準で選ぶでしょう。
大抵は値段とか、容量とか、贔屓のメーカーとか?
あとはやはり『本わさび』か『生わさび』かが基準という方もおられるでしょうか。
今日はそんな本わさび、生わさびの違いについてちょろっと解説していこうかと思います。
わさびの歴史
わさびといえば、なんとなく古来より伝統的に使われてきたようなイメージがありますが、食材として扱われ始めたのはどうやら室町時代頃なんだそうです。
それ以前には薬草としての扱いが主で、鎌倉時代の頃には高級な贈答品として重宝されたようです。
ワサビが食材・調味料として頭角を現したのは意外にも江戸時代だそうで、徳川家康が気に入って独占し、一時ご法度品になるも、家康が倒れた後に幕府が認可し、改めて各地に広まる際に現代の我々がイメージするような『刺身にはわさび』『寿司にはわさび』といった文化的影響を与えることになりました、と。
そんなこんなで日本の食文化にわさびが馴染んできてしばらく、時は飛んで1900年代。
静岡県で製茶技術を参考に、保存可能なわさびとして『粉わさび』が誕生することになります。
これがチューブワサビの始祖になるわけですが、誕生当時にはあまり流通に向かない問題があって、とにかくめちゃくちゃ原価が高かったそう。
どうしたもんかと悩んで約30年、西洋わさびの輸入が始まり、西洋わさびの粉わさびとブレンドすることによって原価を抑え、価格を抑えることに成功して、ようやく普及するようになります。
ただ、この粉わさびについても問題はあって、使うたびに水で練り伸ばさなければならず非常に手間でした。
また、日本原産のわさびは甘味があり香りが強いのに対して、西洋わさびは香りが弱く、辛みが強かった。
使用時の手間が解決されたのは1970年代で、それこそエスビー食品が発売したチューブワサビということになります。
チューブワサビは一気に広まることになり、当然競合する会社も登場します。
「うちは粉わさび使ってませんよ~!」とか「わが社の製品は西洋わさび不使用です!」とかそれぞれ展開していくことになります。
そこで生まれたのが本わさび、生わさびという概念なわけです。
現代でも区別するためにその表現が使われていて
本わさびは日本原産のわさびを使用しているわさび。
生わさびは、とにかく粉わさびを使っていませんよ。という意味で、原材料には言及していないことになります。
生わさびについては、本わさび(日本原産のわさび)の使用率が50%以上なら『本わさび使用』50%以下であれば『本わさび入り』と区分されているので、表現である程度どんな製品なのか想像することはできる。
まとめ~チューブワサビの選び方~
さて顛末はわかったと。
顛末はわかったけども結局スーパーでどれ選べばええねんっ!ちゅう話ですよね。
結論としてどちらが良いか、というよりはなにを食べるのかによって使い分けるのが理想的だといえるでしょう。
刺身や寿司等、辛みよりも香りが強いわさびが合うものは本わさび、または『本わさび使用』の生わさび。
そば等、そのものの香りを楽しみながら、アクセントとして香りが欲しい料理については、生わさび。
等々、参考にしてみてはいかがでしょうか。
料理・食事をより一層楽しむ一助になれば幸いです。
んでは。